精神分析におけるセックスとジェンダーを学ぶ会2022年第3回

2022年6月18日、「精神分析におけるセックスとジェンダーを学ぶ会2022」第3回を行いました。今回は京都大学准教授の西見奈子先生をお呼びして、女性性とマゾキズムについてご講義いただきました。

フロイトは、ペニス羨望、受動性、女性的マゾキズム、両性性から女性性を論じましたが、今日では両性性以外は批判の対象となっています。しかし、本当にそう言い切ってよいのでしょうか。今回のお話は、女性の解剖学的特徴とそこから生まれる無意識的空想から、受動性とマゾキズムについて新たな視点を与えるものでした。

女性性とはいったい何なのでしょうか。

化粧やフェミニンな服装、男性との交際や結婚、妊娠を望むことが女性性だとしたら、それらを望まない女性は皆、女性性を獲得していないのでしょうか。そんなことはないはずです。

一方で、化粧やフェミニンな服装を好み、交際、結婚、妊娠を望む女性は皆、ステレオタイプ的ジェンダー観に主体を奪われていると言ってしまってよいのでしょうか。それも違うと思います。

男性も女性も、それぞれの身体の性的部分について無意識的空想を抱いています。
クラインやタイソンも述べていますが、女性の場合、膣や子宮が奥に隠されているので、謎めいた感じを抱きやすく、「自分の身体がなんか変なことになっているのではないか」「破壊されてしまうのではないか」という不安を抱きやすいです。

おそらく男性の場合は、武器的な性器を持っているため、破壊衝動と罪悪感を抱きやすいでしょう。

このような無意識的空想を、どのように現実生活や自己イメージに変換していくのか。そこに個性が現われるのではないでしょうか。変換がうまくいかないと不適応につながりやすいのだと思われます。臨床的に言えば、適応的な変換を助けることが精神性的発達のキーになるのかもしれません。