精神分析におけるセックスとジェンダーを学ぶ会2021年第8回

2021年12月18日、「精神分析におけるセックスとジェンダーを学ぶ会」第8回を行いました。今回は堀川聡司先生による、ラカンの性理論の講義です。ラカンの基本的な理論的枠組みから、1950年代後半のファルス論と1970年代のセクシュアリティ論について、ユーモラスに概説していただきました。

私はシニフィアンの定義や想像界と象徴界の違いについて一度分かった気になっても、すぐに分からなくなってしまうのですが、今回の講義でかなり理解できたように思います。参加者の方からは、これまで聴いたラカンの話で一番分かりやすかったとの感想もいただきました。

個人的にラカン理論の良いと思う点は、現実的な父親、母親、解剖学的な性差にとらわれない抽象的な概念を用いるため、メタな視点で物事を捉えることができるところです。「去勢」という概念にしても、対象関係論的な捉え方ではなく、万能的な力を持ち得ないことを受け入れることを意味しているのは臨床的に有用だと思います。また、「父の名」が現実の父親や上司などではなく、警察や法律など世の中の法や秩序を意味しているという点も興味深いです。権威主義と権威の違いとも関係があるように思われます。

ラカン派精神分析では、分析主体(患者・クライエント)が自らの「享楽」のモードを知り、それに合わせて対象選択をする、つまり症状や弱みなども含めた自分のあり方を受け入れ、うまくやっていくことが目指されているようです(間違っていたらごめんなさい)。そうだとしたら、これはかなり現実的な、優しい落としどころではないでしょうか。もっと学んでみたいなと思いました。