精神分析におけるセックスとジェンダーを学ぶ会2021年第7回

2021年11月20日、「精神分析におけるセックスとジェンダーを学ぶ会」第7回を行いました。今回はビオンの「コンテイナー・コンテインド」を取りあげました。Bion,W.R. (1959) Attacks on Linking. International Journal of Psycho-Analysis. 40: 308-315 松木邦裕監訳(1993)『メラニー・クライントゥデイ①』岩崎学術出版社106-123

ビオンは♂と♀という記号を用いて、あらゆる対象関係を記述しました。これはペニスと膣だけではなく、乳房と口、母と子、分析家と患者のメタファーでもあります。

投影同一化によってしか理解されることのないプリミティブな感情というものが存在し、それはある種、正常なコミュニケーションであるということをビオンは提唱しました。乳幼児の育児や重たい病理を持つ人の治療においては、欠かせない視点です。

ただ、ビオンの描いたこのような対象関係は、すべての関係性の最大公約数のようなものであり、性器性愛を意味する♂♀という記号で表現する必要はなかったのではないか、なぜ凸凹などの性的ニュアンスをそぎ落とした記号ではなかったのか、ということがディスカッションの焦点となりました。

このあたりは自我心理学派とクライン派では、かなり意見の異なる部分のようです。結論は出ませんでしたが、興味深い議論となりました。