精神分析におけるセックスとジェンダーを学ぶ会2021年第6回

2021年10月16日「精神分析におけるセックスとジェンダーを学ぶ会」第6回を行いました。本日はウィニコットの「男性的要素/女性的要素」を取りあげました。Winnicott,D.W. (1971) Creativity and Its Origines. In Playing and Reality. Tavistock Publications. 橋本雅雄訳 (1979) 『遊ぶことと現実』

ウィニコットの論文は分かりやすいようで分かりにくいことで有名ですが、ディスカッションをする中で段々と論旨が見えてきました。簡単に言うと、創造的に生きるためには、being(=女性的要素)に基礎づけられた上で、doing(=男性的要素)が必要ということです。

誤解していましたが、ウィニコットは受動性=女性的要素、能動性=男性的要素とは言っていないようです。doing(=男性的要素)には、受動性も能動性も含まれており、being(=女性的要素)は原初的母性的没頭のようなあり方(中動態的あり方?)を意味していると理解されました。

一方で、発達の最早期にbeingを身につけたとしても、その後の発達過程で損なわれることがありうるのではないかとの意見もあり、最早期だけで説明しようとするウィニコットの理論の弱さについても議論されました。